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「インベーダーハウス2018」を開催しました

2018年8月18日に、スペースインベーダーのファンイベント「インベーダーハウス2018」を開催しました。OBSLive/基板大好き主催で1日だけ東京・秋葉原で「インベーダーハウス」を復活させるという趣旨のイベントです。

公式ホームページは、こちら。

インベーダーハウス2018
https://onitama.tv/ih2018/

おかげさまで、当日多くのお客様に来場とメディア取材をして頂きまして、盛況のまま1日を終えることができました。
一時は、入場を制限する事態となり、思うように入場できない方も発生し、満員の中多くの方々に不自由をおかけしてしまい大変申し訳ありませんでした。
そして、お越し頂いた皆様、興味を持って頂いた皆様、本当にありがとうございました。

当日の模様は、いくつかのwebメディアで取材され掲載されていますので、そちらも併せてご覧ください。

IGCC ゲーム文化保存研究所 – 昭和の風景インベーダーハウスが平成最後の年に復活!
https://igcc.jp/invader-house2018/

ファミ通.com – 社会現象ともなったあの施設が1日限定復活。実機プレイや開発者トークで盛り上がった“インベーダーハウス 2018”をリポート
https://www.famitsu.com/news/201808/20162576.html

IGN Japan – 誕生40周年を記念し、秋葉原に一日限りで復活!開発者トークショーも用意された「インベーダーハウス2018」レポート
https://jp.ign.com/retrogame/28783/preview/40-2018

GameWatch – 「スペースインベーダー」誕生40周年を記念し、秋葉原に1日限りのあの「インベーダーハウス」が復活!
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1138748.html

いままでにも、「レトロゲームアラカルト」「パックマン展」などでイベントに協力させて頂いていたことはあったのですが、主催という形でイベントを行うのは初めてのことでした。

1日限りのイベントではありますが、1年前からコツコツ計画していたもので、色々な困難もありつつ無事に開催できたことを大変嬉しく思っています。
もともとは、スペースインベーダーが誕生してから40年という節目にあたる年に、ブームの象徴でもあったインベーダーハウスを復活したいという思いつきから始まった企画だったのですが、スペースインベーダーに思い入れのある方々の協力や、開発者でもある西角友宏氏、亀井道行氏にもお越し頂けることにもなり、
当初の想定を大きく上回る内容になったことに驚いています。

自分自身が、小学生の頃にインベーダーブームを体験した世代であり、このゲームに親しんでいたという経緯もありますが、イベントを開催した最大の理由はスペースインベーダーを契機に大きく変わったビデオゲームの歴史について、残しておきたかったということでした。
スペースインベーダーというゲームは現在でも有名で、シューティングゲームの元祖として認知され、ポップなキャラクターやサウンドも人気を得ています。しかし「偉大な作品」というイメージはあるものの、何がどのように偉大なのか? どこが画期的だったのか? ということを知る人は、あまり多くないように思います。
トークショーやコラムなどで、事あるごとにスペースインベーダーを全力でプッシュしてきて、スペースインベーダーの熱狂的なファンとして活動してきた私ですが、ゲーム内容が素晴らしいのはもちろんのことで、このゲームが与えた影響ももっと知ってもらいたいという願いが常にあったのです。

イベントの冒頭では、海外のファンの方々から頂いたビデオメッセージを上映しました。
このビデオは、YouTubeでもご覧いただけます。

全米でも有名なビデオゲームプレイヤーや、スコアの世界記録保持者といった皆さんが、スペースインベーダーが与えた影響を口にしています。
アーケードゲームにおけるハイスコア集計の草分けとして有名な、Twin Galaxiesの創始者であるウォルター・デイ(Walter Day)氏は、ビデオの中でこのように語っています。

“ゲームの歴史にスペースインベーダーが与えた影響は偉大です”
“ゲームで競争をする概念を世界中に根付かせたのですから”
“現在のeスポーツの土台を作り上げた初のゲームと言っても過言ではないでしょう”

これはとても重要なことです。つまり、スペースインベーダー以前のゲームは、特に弾を撃つというジャンルで考えるとタイマー制限のあるガンゲーム(射的)と変わりありませんでした。一定時間内にどれだけ標的を倒すことができるかを競うもので、どれだけ頑張ってもスコアの上限が決まっていたのです。
それまでのビデオゲームは、まだ技術的な制約により時間制のものが多く、上達した人が高いスコアを出すといった概念は希薄でした。スコアを競うゲームの先駆けとして人気があったブレイクアウト(ブロック崩し)でも、初期のものはスコアに上限がありました。
アーケードゲームにおいて「上手い人ほどスコアが無制限に伸びて長く遊べる」ゲームは、ビデオゲームにはほとんど存在せず、ピンボールだけがその地位を得ていました。(なので、長らくピンボールはアーケードゲームの代表として遊ばれてきました。)
ある意味、スペースインベーダーが、初めてそこに辿り着いたのです。今では当たり前ですが、自分がミスをしない限りゲームを続けることができ、操作の上手さに応じてスコアが伸びるゲームのスタイルを、これ以降は定着させていきます。
これは簡単なようで、とても難しいことです。前述の例で言えば、いままで射的しか置いていなかった夜店の出し物で、的の方から攻撃される物を突然出したとして、はたしてヒットを予見できるのか…と思いますし、多くのメーカーであれば、いままで通りの射的を開発することを選ぶに違いありません。
それまでの経験を踏まえて敢えて新しいスタイルを作り出した、西角氏の信念がヒットの要因だと思いますし、そのヒットを受けて日本のゲーム産業が大きく世界を席巻する契機になったと、私は考えています。
そんなゲームを開発し、発売に至ったことを考えると、この事実を国内でもっと多くの人に知られるべきだと、思わずにはいられません。

このビデオの最後には、有名なビデオゲーム「パックマン」開発した東京工芸大学教授の岩谷 徹氏も登場し、西角友宏氏との交友についてお話頂いています。ぜひご覧頂ければと思います。
スペースインベーダーを開発した西角友宏氏、亀井道行氏とのトークショーも、非常に和やかな雰囲気で行われ、当時のタイトーの話から展示会に向けての作業、回路設計の苦労など、今まで出てこなかった事実なども飛び出す充実した内容でした。
満員の会場には、当時を知る人が多く集まり、ブームの時と同様の盛り上がりを感じることができました。
ある意味では、当時から遊んでいたプレイヤーたちから愛好と感謝を直接伝える機会にもなっていたと思います。サイン会や質疑応答など、またとない機会を作って頂いた西角友宏様、亀井道行様、本当にありがとうございました。

会場では、当時のインベーダーハウスや、ブームの様子がわかるようにと、写真を展示パネルとして用意していました。これらの写真は、当時を知る上で非常に貴重なものですが、すべてをアミューズメント通信社赤木真澄氏にご提供頂きました。
特にスペースインベーダーが初めて発表されたタイトー新作展示会の模様は、業界紙「ゲームマシン」に掲載されていないものも含めて、フィルムの状態から再度デジタル化を行なった高精細なものになっています。

赤木様には、このイベントで多くのご支援を頂き、深みのある展示内容になったことを感謝しています。Web版の「ゲームマシン」でも、イベントを取り上げて頂き、大変嬉しく思っています。
(トークショーのスライドでは、写真の権利がタイトー様のものと混同するような表記を入れてしまいました。お詫びして訂正させて頂きます。)

イベント会場には、5台のアップライト筐体と4台のテーブル筐体でスペースインベーダーと、それに関連するゲーム3台を遊べる形で展示していました。
インベーダーハウスと言えば、喫茶店などで大量に並べられたテーブル筐体のイメージが強く、アップライト筐体の印象は薄い傾向があるのですが、敢えて初期のものを多く設置して、限られたスペースでアートワークや筐体そのもののサウンドを十分に体験できるよう心掛けました。
この筐体は、OBSLive/基板大好きでもおなじみの「うらにあ」氏、高井商会の高井一美氏にご提供頂き、アズテックコーポレーション様による整備を経て、完全なコンディションで展示することができました。
さらに、電源や基板の状態から、音質、レバーの感触に至るまで、こだわり抜いた調整をして頂いたfukkokuya氏という布陣がなければ、これだけの展示は実現できなかったと思います。
アップライト筐体で使用されている初期型の基板(Lボード)は、年代もので数も希少な上に故障も多く、正常な動作までの道のりは大変険しいものでした。完全な形で動くゲームの影には、いくつもの故障した基板やブラウン管、パーツなどがありました。職人の皆さんのおかげですが、2018年にこれだけの状態で70年代の筐体を並べて動かした例は世界でもなかなかないと自負しています。

展示された中でも、「スペースインベーダー・パートII」の初期型アップライト筐体は、国内外でもなかなか残っていることが少ない貴重なものです。
初代の「スペースインベーダー」と同様に背景の書き割りにハーフミラーでブラウン管の映像を合成しており、独特の雰囲気を出しています。

また、「ブルーシャーク」は、今回スペースインベーダーのサウンド開発者としてご登壇頂いた、亀井道行氏が同じくサウンドを手掛けた作品で、スペースインベーダーとほぼ同時期に作られています。
こちらも、なかなか動作する筐体は少なく、ジオラマのような豪華な背景を含めてゲームを体験する貴重な機会になったのではないかと思います。

さらに、今回の展示で、意外に感じられた方がいるかもしれないIPМ製の「IPMカプセルインベーダー」。
純正のスペースインベーダーとは違うものの、タイトーの許諾を受け独自にアレンジされたプログラムを持ったレアなバージョンです。

スペースインベーダーのいわゆる「亜流品」は、すべてコピーされた海賊版と思われがちですが、その一部は正式に許諾され生産されています。IPМ(後のアイレム)は、かなり早い時期にスペースインベーダーと同等の基板を開発し、カラー化なども実現させています。(CPUやプログラムも異なるまったく独自の設計でした。)
こういったイベントでは、オリジナルの純正品のみを扱うことが多いのですが、ファンにとっては当時親しんだ様々なバリエーションも含めて、再会をしたいのではないかという思いもあって、この台を設置してみました。展示ケースに入れられていた、テーブル筐体型ライターもIPМ製ということで、密かにこれもレアなアイテムでした。
ゲーム文化保存研究所(IGCC)の大堀康祐氏とのトークショーでは、当時設置されていた亜流の製品も含めて、許諾品とそうでない物の違いなど、スペースインベーダーを発端として爆発的に広がったビデオゲームの時系列を今一度なぞりました。
これは、ファンにとっても、国内のビデオゲームの歴史としても、風化せずに残しておきたい1つの歴史だと感じています。

そんな中での主役は、やはり初代のスペースインベーダーです。
今回2台のアップライト筐体と2台のテーブル筐体、さらに海外の筐体を逆輸入して販売されたMidwayバージョンのアップライト筐体を用意して、ハイスコアチャレンジと銘打って大会を開催しました。
スペースインベーダーは、筐体が変わってもゲームそのものの仕様や難易度は変わらないので、こういった構成で同時にプレイする大会の実現が可能です。
予選・準決勝は3分間のプレイでのスコアを競い、決勝は5分間でのスコアを競います。2016年に開催された大会「スペースインベーダーチャンピオンシップ」もそうでしたが、上位の参加者は、非常にハイレベルな戦いになり中継される画面を見ているだけでも、かなり楽しめるものでした。
決勝は、アップライト筐体での対決となりましたが、慣れない環境の中、優勝を果たしたfukkokuya氏は、5分間のプレイで7,150点という高得点に達しました。チャンスがあれば、ぜひアメリカのチャンピオンと日米対決を実現したいと思っています。

外が暗くなってきた時間に店内の照明を消してインベーダーハウス当時の雰囲気を再現する「魅惑のインベーダーハウスタイム」は、当日あまりに忙しかったために実施を忘れかけていましたが、これは当初から構想していた試みで、今のゲームセンターではなかなか再現できないものだと思います。
当時は、本当に暗かった。それは不健全で不良の温床にもなるぞというものでしたが、もともとは大人の雰囲気、高級感を演出することが目的だったように思います。現在、アメリカなどで流行しているゲームバー(Barcade)も、同じような雰囲気で営業されていて、ビデオゲームが決して子供だけに向けたものではないことを示している気がします。

トークショーの模様や、イベントの紹介は、いずれOBSLiveでも特集してお届けしたいと考えています。
イベントに来られた方も、興味を持ってくれた方も、本当にありがとうございました。

最後になりますが、イベントの運営や進行で色々ご協力頂いたスタッフの方々、協賛頂いた株式会社ツェナワークスの方々、貴重な展示品やトークショーなどでご協力頂いた大堀康祐氏とゲーム文化保存研究所(IGCC)の皆様、そして有志のイベントとして最後までご支援とご協力を頂いた株式会社タイトー様に、大きな感謝とお礼をしたいと思います。

これからも、「OBSLive/基板大好き」として色々な企画を進めていければと思っていますので、温かく見守って頂けたら嬉しいです。

インベーダーハウス2018
https://onitama.tv/ih2018/

開催日 : 2018年8月18日 12:00~19:00
主催 : OBSLive / 基板大好き
協賛 : 株式会社ツェナワークス
ゲスト : 西角友宏 / 亀井道行 / 大堀康祐
協力 :
株式会社タイトー / アミューズメント通信社 / ゲーム文化保存研究所(IGCC)
高井商会 / Aztech Corporation / fukkokuya / たます / アネモネ・モーニアン(アニモ)

SPACE INVADERS: TM & © TAITO CORPORATION 1978 ALL RIGHTS RESERVED.

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