Home > イベント | レトロゲーム > ゲームレジェンドにタッパー持ち込み

ゲームレジェンドにタッパー持ち込み

レトロゲーム系イベント「ゲームレジェンド32」でアーケード筐体の展示を行ないました。
(過去の参加報告は、こちら。)

9月に続いて今回もアーケード筐体の展示として、「タッパー(Tapper)」(Bally Midway 1983)を設置しました。

タッパーは、アメリカで作られたアーケードゲームで、バーテンダーとなってビールを客に出すコミカルなキャラクターゲームです。アメリカの子供向けカートゥーンを思わせるキャラクターでありながら、場所は酒場でテーマはビール! この不思議なバランスがいい味を出しています。
ビールサーバーのタップ(注ぎ口)を模したコントローラーを操作して、次々とやってくるお客にビールを注いで送り出すシンプルなルールで、誰でもすぐに楽しめる名作ゲームです。映画「シュガー・ラッシュ」の中でも筐体とバーテンダーが登場するなど、今なお多くの人の記憶に残っているはずです。

1983年と言うと、ビデオゲーム「パックマン」のアニメがアメリカで大人気となり国民的キャラクターとして盛り上がるなど、新しい表現メディアとしてゲームが注目されていた時期でもあります。
アメリカのゲームと言えば、クールで渋い画面、メカやファンタジーといったテーマが多かったのですが、職人的な細かいドット絵で表現された日本製のキャラクターゲーム(「ドンキーコング」「バーガータイム」「ディグダグ」など)がアメリカで幅広く受け入れられたこともあり、それまでとは違った方向を模索していった時代とも言えます。
このゲームを発売したのは、バリーミッドウェイ(Bally Midway、現ワーナー・ブラザース・エンターテイメント)で古くからアメリカのアーケードゲームを手掛けているメーカーです。もともとはエレメカのゲーム、ピンボールなどを製作していたメーカーですが、日本のメーカーからライセンスされた「Space Invaders」「Galaxian」「Pac-Man」をアメリカで販売し、さらに独自に開発された「Ms.Pac-Man」が大ヒットになるなど、アーケードビデオゲーム市場で急成長を遂げました。

日本では、海外メーカーとしてはアタリ社が有名で「ミッドウェイ」はあまり知られていない存在ですが、アタリの「PONG」をいち早くライセンス生産し、世界初のCPU(コンピュータ)を使用したビデオゲーム「Gun Fight」を発売しています。この「Gun Fight」のMidway8080基板は、その後多くのゲームに影響を与え、西角友宏氏「スペースインベーダー」のハードウェアを生み出す原点にもなっています。また、親会社であるバリー社は、Dave Nutting Associatesとともに、家庭用ゲーム機「Astrocade(バリー・プロフェッショナル・アーケード)」を発売するなど、実はビデオゲームとの関わりは深く、歴史ある会社なのです。

さて、今回のタッパーですが、この時期に作られたミッドウェイのゲームは、Marvin Glass & Associatesという会社がデザインも含めた開発を担当しています。この、Marvin Glass & Associatesは1941年にシカゴで創業された子供向けオモチャの開発会社で、長きに渡ってデザインや設計などを請け負っていました。同社はバリーミッドウェイからリリースされた、タッパーを始めとして「Journey」「Domino Man」「Timber」「Kozmik Krooz’r」など特徴的なデザインのゲームを手掛けています。
中でもタッパーは、セガがライセンスを得て日本国内でも販売していたため、他の海外ゲームと比べると当時見たことがある人も多いはずです。以下は、ゲームマシンアーカイブより当時の新聞「ゲームマシン紙」(1984年4月1日 第233号20面より)の紹介記事です。

実際のビール(Budweiser)が出てくるのも画期的で、ゲーム内広告としての役割も果たしています。他にもルートビア版、日本向けにはサントリー版も作られています。
この日会場に置かれた筐体には、実際のバドワイザー瓶が差し入れられ、タッパーファンにはたまらない風景になっていたのではないかと思います。

コミカルなキャラクターが生き生きと動く画面は、今でも楽しめます。これは、Bally Midway MCR Systemという基板で作られており、同時期の他のゲームと比べて緻密な表現が可能でした。

たとえば、ナムコのマッピーなどは288×224ドットの解像度でしたが、タッパーはインターレース表示による512×480ドットという高い解像度を実現していました。このあたりの技術アプローチが、日本とアメリカで違っているのも面白い点です。
この日会場では、偶然にも「ひげねこ堂」さんが「Journey」の展示試遊をしており、同時期のミッドウェイ製ゲームが2種類遊べる空間になっていました。こちらも貴重な機会だったと思います。

今回もギャラリーができるほどの盛況ぶりで、当時を知る人、初めての人も含めて多くの皆さんに遊んで頂きました。最終的なハイスコアは、58750点でした。
ブースにお越し頂いた皆様、ありがとうございました。今後また機会があれば、展示を行なっていきたいと思います。

No related posts.

このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをはてなブックマークに追加

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:1

Trackback URL for this entry
https://www.onionsoft.net/wp/archives/3093/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
ゲームレジェンドにタッパー持ち込み from おにたま(オニオンソフト)のおぼえがき
pingback from 2019年11月13日(水)の日常 | okaz::だめにっき 19-11-14 (木) 21:05

[…] ゲームレジェンドにタッパー持ち込み – おにたま(オニオンソフト)のおぼえがき […]

Home > イベント | レトロゲーム > ゲームレジェンドにタッパー持ち込み

Search
Feeds
Meta

Return to page top